よくあるご質問

出生前診断に関するご質問

Q 出生前診断の検査方法は?
A 主な方法としては、羊水穿刺法、絨毛採取法、胎児血採取法があります。羊水穿刺法は、子宮に針を刺し胎児の周りにある液体(羊水)を採取して診断に用います。絨毛採取法は胎盤を形成する絨毛を採取して診断につかわれます。胎児血採取法は胎児の臍帯から血液を採り診断に用います。
Q 羊水穿刺法とは?
Aもっとも広く用いられている診断法です。妊娠15~17週頃に妊婦さんのお腹に直接長い針を刺して、超音波診断装置で胎児や胎盤に刺さらないように気をつけて、羊水を20mlほど採取します。採取された羊水には胎児由来の細胞が含まれており、その細胞を1週間~10日間ほど培養し、増殖させて染色体を観察します。また、増殖した細胞からDNAを抽出し、遺伝子を解析することもできます。
Q 絨毛採取法とは?
A 羊水穿刺法より早期の診断法です。絨毛採取法には、経腹壁法と経頚管法の2つの方法があり、妊娠9-12週頃に超音波の画像を見ながら行います。
母親から胎児への栄養分の供給や胎児の不要物の排出などは胎盤を介して行われますが、その胎盤を形成する組織の一つである絨毛は胎児と同じ起源の細胞で作られているので、採取した絨毛を培養して得られる細胞や直接抽出したDNAを用いて、胎児の染色体や遺伝子の情報が得られます。
Q 胎児血採取法とは?
A 超音波画像を見ながら、胎児の臍帯から0.5-数mlの血液を採取し、リンパ芽球を3日間培養して染色体などを分析します。胎児血採取は特に技術的に難しい点があり、羊水診断などで診断が確定できなかったときや、血液以外に診断法がない場合などに限って実施されます。経験を有する医師によって行われています。
Q 羊水・絨毛診断でどのような異常が分かりますか?
A 羊水細胞や絨毛細胞などを培養し、増殖した細胞で染色体の異常が分かります。また、遺伝性疾患の原因となる遺伝子の異常も判定できます。
診断できる染色体異常には、21トリソミー(ダウン症候群、以下ダウン症とします)、18トリソミー、13トリソミー、性染色体の数的異常などが分かります。
また、染色体の形態的異常である相互転座、欠失、逆位などの異常も判定できます。遺伝子異常では、重篤な遺伝性疾患のいくつかについて診断可能です。ただし、遺伝子診断の場合は両親のいずれかあるいは両方がその疾患の原因遺伝子を有していて、その遺伝子の異常が既に判明している場合などに限って実施されます。詳細は主治医または臨床遺伝専門医などにご相談下さい。
Q ダウン症とは?

A ダウン症は赤ちゃんの細胞の中の21番染色体が1本余分になること(21トリソミーという)が原因で発症します。
ダウン症の赤ちゃんは700人に1人の割合で生まれています。普通、遺伝することはなく、家系内にダウン症の子どもさんがいなくても生まれることがあります。
ダウン症の子どもさんは精神発育遅延を伴うことが多く、心臓奇形や視力・聴力障害をきたすこともあります。赤ちゃんが生まれる前に、生まれた後の障害の程度を知ることはできません。ダウン症の赤ちゃんの10人のうち9人は長期生存し、その半数は60歳以上まで生きることができます。

Q ダウン症の原因となる21トリソミーはどの夫婦にも起こるの?

A そうです。21番染色体は通常1対(2個)あります。1個は母親の卵子から、もう1つは父親の精子から受精によって次の子に受け継がれます。ところが、卵子や精子をつくる過程で異常が起こり、21番染色体を2個持つ卵子や精子ができることがあります。
例えば、2個の21番染色体を持つ卵子と正常な精子が受精すると、受精卵は21番染色体が3個(トリソミー)になり、それが分裂を繰り返し増殖して体を構成すると21トリソミーの子どもになります。トリソミーになるとその染色体に含まれる遺伝子の働きがすべて3個分で、その結果種々の特徴的な臨床症状が現れます。
また、稀に転座型ダウン症という型があります。これには両親のいずれかの21番染色体が他の染色体に結合(転座)している場合があり、このときは次にダウン症の子どもさんが生まれる確率が高くなります。

Q ダウン症の妊娠は母親の年齢が関係しますか?
A 精子や卵子をつくる過程での異常が原因ですから、どの夫婦もダウン症のお子さんをもつ可能性がありますが、ダウン症の妊娠は女性の年齢の上昇に伴って高くなることが分かっています。一方、父親の年齢はほとんど関係していないようです。
分娩予定日の
母体年齢
Down症の確率 分娩予定日の
母体年齢
Down症の確率 分娩予定日の
母体年齢
Down症の確率
20歳 1:1,450 30歳 1:940 40歳 1:85
21歳 1:1,450 31歳 1:820 41歳 1:70
22歳 1:1,450 32歳 1:700 42歳 1:55
23歳 1:1,400 33歳 1:570 43歳 1:45
24歳 1:1,400 34歳 1:460 44歳 1:40
25歳 1:1,350 35歳 1:350 45歳 1:35
26歳 1:1,300 36歳 1:270 46歳 1:30
27歳 1:1,200 37歳 1:200 47歳 1:30
28歳 1:1,150 38歳 1:150 48歳 1:30
29歳 1:1,050 39歳 1:110 49歳 1:25

Morrisら(2003年)の調査による

Q 両親のいずれかが染色体異常を持っている場合は?
A 両親の一方が相互転座や逆位など、染色体の構造異常を持っている場合です。上で記載した転座型ダウン症の親がもつロバートソン型転座の場合も同じです。このような人は、特に何ら症状はありませんが、妊娠して生まれた赤ちゃんが不均衡な染色体を受け継ぎ、重篤な疾患を伴う頻度が高くなることがあります。
その頻度は、構造異常の種類(相互転座、ロバートソン型転座、あるいは逆位)、またその構造異常をお母さんが持っている場合とお父さんが持っている場合で異なりますが、次のお子さんの10%以上が先天異常児となる場合があります。
Q 前に染色体異常のお子さんを産んだ場合、再発は?
A 前に染色体異常のお子さんをお産みになった場合、次の妊娠で同じ染色体異常のお子さんが生まれる頻度は、そのお母さんの年齢と同じ女性が同じ異常児を出産する確率より数倍~10倍程度高くなることが知られています。
この原因はよく分かっていませんが、身体を構成しているほとんどの組織では染色体が正常でも、性腺(卵巣や精巣)に染色体異常の細胞が混在している場合があり(モザイクといいます)、それが原因ではないかと考えられています。この場合は、卵子や精子が染色体異常をもつ頻度が高くなることが予想されます。
Q 出生前診断を受ければ、私の子どもは先天異常でないことが完全に保証されるのでしょうか?
A いいえ、そうではありません。羊水や絨毛診断の結果が正常であれば染色体異常でないことを知ることはできるでしょう。
しかし、他の原因による先天異常がまったくないことを保証するものではありません。
Q 羊水穿刺や絨毛採取は安全ですか?
A 羊水穿刺は日本でも長年にわたり年に15,000例ほど行われています。その安全性については注意深く調査されていますが、羊水穿刺の結果、流産する頻度は500から600回に1回ぐらいです。
妊娠9~11週に行われる絨毛採取ではこの妊娠時期の自然流産と同じ1%程度のリスクです。
Q もしも、私の赤ちゃんがダウン症や他の染色体異常、遺伝子異常だったら?
A もしも、赤ちゃんがこれらの異常をもっていることがはっきりしたら、あなたはその病気がどのような経過をとるのかなどを主治医、臨床遺伝専門医、あるいは遺伝カウンセラーと十分に話し合うことをお勧めします。
また、あなたが生まれる赤ちゃんをどのように育てていけば良いかについて相談を希望される場合は、それぞれの疾患について特別な支援団体がありますので紹介していただけるでしょう。
Q 検査を申し込むにはどうしたらよいですか?
A 弊社では妊婦さまからの直接のご依頼は受けておりません。
検査をご希望の方は、かかりつけのお医者さまにご相談をお願いいたします。