NIPT

NIPT (Non-Invasive Prenatal Genetic Testing)

母体血による出生前胎児染色体検査

はじめに

2013年前半に米国のナテラ社は、胎児の21トリソミ―(ダウン症候群)、18トリソミ―(エドワード症候群)、13トリソミ―(パトウ症候群)、Xモノソミー、そして希望がある場合は胎児の性別を検査するための無侵襲的な染色体異数性スクリーニング検査(Non-Invasive Prenatal Genetic Testing、略してNIPTと呼ばれています)のPanoramaを開始しました。

“無侵襲的”とは「(胎児を)傷つけないような」という意味ですが、お母さんの血液の採取という容易な方法でできる検査を表しています。

この検査は母体の血液中の血漿成分から母体と胎児由来の細胞フリーDNA(cfDNA)を解析するもので、妊娠9週という早期から実施が可能です。
独自の分子生物学的・生物情報学的アプローチを用いるこの検査は、従来の無侵襲的スクリーニングや他社の方法に比べて飛躍的な進歩を遂げており、比類のない感度と特異度を実現しています。

当社は日本で最初にこの優れた点に注目し、認可施設を通してこの検査を行っております。

 

NIPT検査とは

NIPTは出生前に母体の末梢血によって胎児染色体を調べる検査です。主に特定の染色体(13番、18番、21番染色体)の数的異常(トリソミー)を検出します。胎児生命科学センターではNatera社(米国、サンカルロス)のPanorama Testを取り扱っています。このNIPTは、SNP解析を基盤にした精度の高い次世代のNIPTと言われておりますが、スクリーニング検査です。NIPT検査について医師等から詳しく説明を受け、この検査を受診するかはよく考えて決めましょう。

 

母体血による胎児染色体検査(NIPT)

検査 出生前胎児染色体 スクリーニング
検査対象 妊娠9週以降の女性
検査材料 末梢血 20ml
採取方法など 専用の容器(下記)に採取(Panorama検査キット)
保管搬入方法 常温で保管・搬入
検査期間 8~12日

 

NIPT検査容器

検査容器  Panorama検査キット

 

従来のスクリーニング法

21トリソミ―、18トリソミ―、および13トリソミ―は出生児に最も一般的に見られる数的異常で、合わせて約450出生児に1人の確率で発生します。
中でも、21トリソミ―が最も多く発生します。最近まで、主なスクリーニング法として、妊娠第一期に行われる項部浮腫(NT)を測定するための超音波検査に加え、第一期と第二期に一連の母体血清マーカーテストが行われていました。

この統合型のスクリーニング法(コンバインドテスト)は21トリソミ―を検出するために設計されたものですが、13トリソミ―と18トリソミーも検出しています。
また、NT値の増加(および頸部の嚢胞性ヒグローマとその他の指標)は性染色体の数的異常にも関連しています。

しかし、多くの研究において、21トリソミ―の検出率は79%~90%の範囲に留まっており、偽陽性率が5%含まれることが報告されています。スクリーニングによるハイリスクの結果の場合には、その確認のために絨毛検査や羊水検査などの侵襲的な確定検査が必要になります。しかし、これらの検査には最大1/300の割合で感染や流産などが誘発される可能性があります。

 

母体血中の胎児由来の細胞フリーDNA

母体血漿中で循環している胎児由来の細胞フリーDNA(cfDNA)の特性は、胎児異数性染色体のスクリーニングの新たな方法で、無侵襲性出生前検査(NIPT)を可能にします。

胎児cfDNAは胎盤の関門を通り抜けて母体循環に侵入するため、母体の簡単な血液採取で胎児の染色体コピー数を検出でき、侵襲性の診断検査のリスクを回避できます。胎児cfDNAは母体cfDNAによって大幅に希釈され、平均でcfDNA全体の約10%になっています。

この胎児cfDNAの割合(fetal fraction)は妊娠週数に伴って増加が認められます。一方母体の体重の増加に伴って「胎児DNA断片の割合」は逆に減少することが認められています。

母体血漿から単離されたcfDNAを使用した胎児染色体のコピー数の正確な判定には、cfDNAの増幅とその分子生物学解析が必要です。現時点で、主な分子生物学的情報解析法には2つのアプローチがあります。その一つは、cfDNAベースの検査のほとんどで用いられている第一世代の「DNA量比較法」または「カウント法」と呼ばれる方法です。これに対して、ナテラ社が用いる第二世代のアプローチは、遺伝子情報を解析する方法です。

 図1.母体の血液中に含まれる胎児由来の細胞フリーDNA

 

細胞フリーDNAに基づいた胎児染色体コピー数の検出法

ナテラ社のPanoramaテストは、一塩基多型(SNP)を特定的に増幅してそのパターンを解析し、母体と胎児の遺伝子型の違いを区別できる唯一の方法です。PanoramaはNext Generation Aneuploidy Test Using SNPs (NATUS ; SNPを用いた次世代異数性検査)と呼ばれる、胎児染色体異常検出に特化したアルゴニズム(特許取得済み)を使用して解析しています。

Panorama は母体血液中の白血球を利用して母体のDNAを分離かつ特定した後、この情報を使用して母体の遺伝子型を引き算で除外し、胎児遺伝子型をより確実に取得します。これによって胎児DNA断片の割合が2.8%という低さでも、より高い精度で胎児染色体のコピー数についての情報が得られる唯一のNIPTです(図2)。

これは基準となる染色体のデータを必要としない唯一の方法であり、10~14週で約1,500の妊娠に一人の確率で発生すると予想されている三倍体性の異常も検出することができます。

図2.Panorama の働き

他社も無侵襲的出生前検査(NIPT)を行っています。しかし、それらは第一次世代のNIPT法で、ただ量的な比較による「カウント法」を使用して胎児染色体のコピー数を判定するもので、cfDNAにおける母体と胎児の遺伝子型を区別するものではありません。

これらの方法は(トリソミ―によってダウン症になる)No.21染色体など、対象とする染色体の読み取り数と、正倍数体であると推定される基準染色体のそれとの相対値を比較します。

これらの方法では21トリソミ―の検出においては生化学的検査や超音波ベースの検査法よりも効果的ですが、一方で、18トリソミ―や13トリソミ―については精度が落ちています。
また性染色体の数的異常についても効果的でありません。さらに、胎児DNA断片の割合が低いケースでは精度が劣り、量的検査では胎児DNA断片の割合が8%を下回る場合、検出率がわずか75%に低下することがあります(表1)。
研究によると、妊娠第9週から第14週の妊婦の約1/4において、胎児DNA断片の割合が4%~8%しかないことが示されています。

加えて、報告によると検出される13トリソミ―はわずか80%~91.7%であり、モノソミーXについては検出できたときに報告されるのみです。
これら検査のどれも疑陽性率が0.1%~1.1%の範囲であり、陽性的中率は高くありません。

対して、Panoramaテストはこれらのような問題はありません。

 

Panorama検査の有用性

胎児DNA断片の割合(%) カウント法による21トリソミー検出感度 Panoramaテストによる21トリソミー検出感度
>10% >99% >99%
<10% 91% >99%
<8% 75% >99%

表1:21トリソミ―の検出感度

Panoramaテストは妊娠第9週という早期(他の検査よりも早期)に、簡単な母体の末梢血の採取のみで申し込むことができます。

採血容器にはcfDNAを保護する特殊な血液チューブを使用し、常温でカリフォルニア州サンカルロスにあるナテラ社のCLIA認証ラボに送られます。検体の処理後、各染色体について解析・評価され、各個人にリスクスコアが記載された報告書が作成されます。胎児の性別はリクエストに応じて報告されます。(現在、日本産科婦人科学会では検査対象に入れておりません。)胎児染色体異常のリスクが高いと判定された妊婦さんは、追加の確認検査について説明されます。すべての妊婦さんは遺伝カウンセリングを受けることが必須です。

 

検査の受託について

弊社では、この検査は日本医学会が認定した認定施設からの受託のみお受けしています。
未認可施設、また妊婦さまから直接の検査依頼はお受けしておりません。ご了承ください。

 

Panorama Testについてより詳しく知りたい方は、こちら(Natera社のホームページ)にお進みください。

弊社では『NIPT検査をお考えの妊婦さまへ』という冊子を用意しております。
ご希望の方は、お問い合わせフォームからお申込みください。